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2019/11/11

メタボ予防の新常識~腸内細菌に注目した『アブラ』の取り方とは~ PR

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腸内細菌に注目した『アブラ』の取り方とは

近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)が、肥満に代表されるエネルギー代謝疾患と密接に関係することが明らかになりました。腸内細菌は食事で取ったものから固有の代謝物を作りますが、これが体全体に影響を及ぼすことがわかったのです。腸内細菌に関わる栄養のなかで解明が進んだのが『アブラ』です。摂取する『アブラ』の種類によって、腸内細菌が作り出す代謝物が変化し、それらの役割と体への影響が明らかになってきました。今回は東京農工大学大学院農学研究院教授の木村郁夫先生に監修をしていただき、食事と腸内細菌の関係と『アブラ』の適切な取り方について、レシピと共に紹介いたします。

[監修] 木村 郁夫 東京農工大学大学院 農学研究院 応用生命化学専攻 代謝機能制御学研究室 教授 2001年京都大学薬学部卒業、2006年京都大学大学院薬学研究科博士課程修了。京都大学大学院薬学研究科助教などを経て2019年から現職。2016年には文部科学大臣表彰若手科学者賞、杉田玄白賞を受賞。

Point01 腸内細菌が体をコントロールしている!?

中国やヨーロッパなどの糖尿病患者は、人種・食生活の違いに関係なく「酪酸菌」という腸内細菌の割合が低い傾向にあるという研究結果があります。日本でも糖尿病患者と健常者の腸内環境を比べた結果、第1回の記事でも触れた『短鎖脂肪酸』が少なく腸内細菌のバランスが崩れていることが明らかになっています。腸内環境が糖尿病や肥満に非常に関係していることがわかったのです。
さらに腸内細菌の代謝物は食事によって大きく変わります。例えば野菜や穀類を中心にすると『短鎖脂肪酸』が増えたり、動物性食品を中心にすると心筋梗塞などの心血管疾患の原因となる「TMAO」という物質が増えます。また炭水化物を抜く糖質オフダイエットをすると、体内の脂肪が分解され「ケトン体」を増やすことにつながり、体重増加の抑制につながるとされています。
これは話題の「カロリーや糖質の制限をすれば、肥満が改善する」といったダイエット法の根拠でもありながら、過度に行うことで腸内細菌叢のバランスが崩れ、体全体に悪影響を及ぼす危険性を示しています。

『短鎖脂肪酸』などの、腸内細菌が食事から作り出す代謝物は、腸はもちろん、肝臓や脂肪組織、さらには脳にある「受容体」を活性化させ、脂質・糖の代謝、脂肪の蓄積、消化、食欲のコントロールを行うということが分子レベルで解明されてきました。これは食事を起点とした腸内細菌の働きが全身の代謝機能を制御しているということです。逆に言えば、食事によって腸内細菌が生み出す物質をコントロールすることで、体の健康維持が可能となるのです。

Point02 解明された『アブラ』の大切さ

私たちがふだん食べているバター、サラダ油、豚や牛の脂肪、魚の油などの油脂の主成分は中性脂肪と呼ばれる物質で、その性質や質を決めているのが「脂肪酸」です。脂肪酸は常温時の状態で分類でき、固体のアブラ(脂)が「飽和脂肪酸」、液体のアブラ(油)が「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。「飽和脂肪酸」のような肉に含まれるような固形の脂は、太る原因、また腸内細菌叢の乱れを引き起こすことがわかってきました。一方で「不飽和脂肪酸」は健康によいということが最近の研究で明らかになってきました。また、不飽和脂肪酸の摂取が腸内細菌の中でも善玉菌である乳酸菌の割合を増やすこともわかってきました。「不飽和脂肪酸」は「必須脂肪酸」と呼ばれ、「不飽和脂肪酸」のうち、体内で作ることができないため、食事から摂る必要のある脂肪酸を必須脂肪酸と呼ばれ、さらに『オメガ3』のα‐リノレン酸と『オメガ6』のリノール酸に分けられます。近年明らかになったのは、これら「多価不飽和脂肪酸」のバランスの重要さです。

脂肪酸の分類

食の欧米化により、摂取が増えているのが『オメガ6』です。サラダ油、フライドポテトやカップラーメン、スナック菓子やドレッシングなど、揚げ物や炒め物に使う油のほとんどが『オメガ6』になります。
この『オメガ6』は体の組織が正常に機能する上で欠かせませんが、過剰に摂取すると脂肪組織の炎症をもたらし、花粉症やアレルギーの症状を引き起こす可能性があります。また、腸内細菌、特に善玉菌である乳酸菌がいることによって、この過剰に摂取したオメガ6脂肪酸を他の体によい脂肪酸に代謝してくれることもわかってきました。しかしながら、最も必要なのは、そのバランスを保つ、「もう一方の多価不飽和脂肪酸である『オメガ3』です。
『オメガ3』には、食用調理油由来のα‒リノレン酸と魚介類由来のエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。『オメガ3』は、脳の発達や機能維持にも重要で、糖尿病・乳癌・大腸癌・肝癌・心筋梗塞のような虚血性心疾患などのリスク低減に有効、という研究結果もあります。

オメガ6系/オメガ3系脂肪酸バランスの破綻

Point03 『アブラ』は1:4を意識して!

『オメガ3』と『オメガ6』の理想的な摂取の割合は1:4です。しかし、現状はおよそ1:10で、圧倒的に『オメガ3』が不足し、『オメガ6』を取りすぎていると言われています。
加工食品の原材料に「食物性油脂」と書かれてあったら要注意です。食べるのを少し控えたほうがいいでしょう。また調理に使うアブラをサラダ油ばかりでなく、オリーブ油に変えるという方法もあります。そのほか、魚を週3回は食べる、加熱しないエゴマ油やアマニ油をサラダにかけるなどと、『オメガ3』を意識して取ってみてください。
摂取するアブラの質とバランスを考えると、腸も喜び、体を正常に戻してくれるはずです。

Point04 『オメガ3』が多く含まれる油・食材とは?

厚生労働省は、男女別、年代別に1日に必要なオメガ3脂肪酸の摂取目安量を定めており、おおよそ1日に大さじ1-2杯です。『オメガ3』が多く含まれている油には、エゴマ油やアマニ油のほか、クルミ、魚の脂などがあります。
『オメガ3』は「熱に弱く、酸化しやすい」という難点があるので、生のまま使うことが理想です。魚介類の場合、蒸したり焼いたりすれば、比較的油が分解されずに残るので、試してみましょう。

オメガ3が含まれている油・食材

オメガ3を手軽にとれるレシピ紹介

体に必要不可欠なのに不足しがちなオメガ3脂肪酸。忙しい家庭では摂取することが難しそうに思えますが、実はちょっとした工夫で簡単に取ることができます!
3食さまざまなシーンでお手軽に作れるレシピを4つご紹介します。

くるみ風味のトマトサラダ

豚肉ときのこの蒸し物 くるみだれ添え

秋さばのヨーグルト焼き

さやいんげんとツナのパスタ

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