ゆっくりつくるからこそおいしい料理を紹介するシリーズ「ゆっくりがおいしい」。今回は小豆をじっくり煮てつくる、粒あんの「おはぎ」を金塚晴子さんに教わります。
和菓子研究家としてテレビに雑誌に大活躍の金塚さんですが、なんと前職は音楽ディレクター。和菓子の世界へ足を踏み入れたのは一冊の本との出会いでした。
レコード会社のディレクターとして、数々のヒット曲手がけてきた金塚さん。ハードスケジュールの中、レコーディングの空き時間に行った図書館で、ふと手にとった本に心を動かされます。そこで紹介されていたのは四季折々の美しい和菓子。「こんな世界があるのか…」と和菓子に魅せられた金塚さんは18年勤めた会社を辞め、製菓学校へ入学し、一から勉強したそうです。
「最初は趣味のつもりで始めた和菓子作りですが、今では私にとっての生活の要になっていますね。例えばきれいに紅葉したもみじを見たときに、このイメージをお菓子にしたいとインスピレーションがわくんです。絵画などを見るときも和菓子というフィルターを通して見ている感じですね。」
見た目、食感、味、作るときの手触り。そのすべてが心に安らぎを与えてくれる。和菓子の魅力を語る金塚さんの表情は生き生きとしていました。
そんな大好きな和菓子を家庭で手作りして楽しんで欲しいという願いから、金塚さんは和菓子教室「へちま」を主宰しています。教室では電子レンジや、フードプロセッサーを使って、家庭で作りやすい和菓子を数多く提案しています。「もともと電子レンジなどを使うのには抵抗があったんです。でも使ってみたら、家庭で少量作るのにすごく向いているんですね。おいしくできて作りやすいので、よりみなさんに和菓子に親しんでいただけるのではないかと思っています。難しいと思われがちな手作りの和菓子をもっと身近に感じていただきたいんです。」
さて、金塚さんに教わった「おはぎ」も家庭で作りやすいレシピ。粒あん作りのポイントは火加減です。渋抜きをするとき、あんを練るときは強火。豆を煮るときは弱火に。火加減にメリハリをつけることで、煮崩れせず、豆のおいしさがいきたあんになるそうです。
「案ずるより産むが易し。一度作ってみてください。少しくらい形がいびつでもいいんです。手作りの和菓子をかこむお茶の時間は、なにものにも代えがたいものがあります。」
秋のお彼岸も間近です。今年はぜひ手作りのおはぎに挑戦してみてはいかがでしょうか。