今回の「きょうの料理」は、ゆっくりつくるからこそおいしい料理を紹介するシリーズ。茹でたとうがんをだしに浸して味を含ませ、翌日仕上げる煮物のレシピです。日本料理店店主の上野直哉さんに、だしの取り方のコツを教えていただきました。
日本料理はだしが決め手。上野さんのだしは、透んだきれいなだしです。「沸かしてしまうと昆布の青臭さや、かつおのえぐみが出ます。弱火にかけ、70度で昆布を引き上げ、80度になったらかつお節を入れて火を止めて。かつお節をかき混ぜると濁ってしまうので、そのまま3分おいてこしてください。」
温度計がなくとも、鍋の気泡の具合で温度を見分ける上野さん。日本料理はシステマチックで合理的と言います。
「煮物は面倒と思われがちですが、煮ている間に他のことができるのでいいんですよ。もっと家庭でつくってもらいたいですね。」
神戸でお店を営む上野さんは、お客さまからいろいろと感じることがあるそうです。「煮物や和え物は、家ではあまりつくらないという方が多いですね。今は、家で食べるべき物を外で食べて、外で食べるような物を買って家で食べている。家庭では、煮ものや炊き合わせをきちんとつくって食べてほしいです。」
また、最近は食べ物に対する恩恵の念が少なくなっているのではないかと言います。「若い人はあまりたくさん食べないですね。年配の方のほうがしっかり召し上がります。残したらもったいないという気持ちもあるのでしょう。コース料理でも、若い方はちょっとずつ残しながらコントロールして食べますが、年配の方は途中で減らして下さいと言ってくれますね。」
さて、教えていただいた「とうがんと焼きあなごの煮物」は、見た目も涼やかで、色もきれいに仕上がります。火を使う時間は短いので、ぜひ、つくってみてください。