「満喫!旬の味」二日目は、初秋を迎えグッと味わいを増した「秋なす」がテーマ。この時期のなすは、果肉の締りがよく、肉厚で、特に美味しいと言われています。講師は料理研究家の鈴木登紀子さん。「登紀子ばぁば」の愛称で各方面で活躍されています。鈴木さんが、上品で丁寧な語り口でお話ししてくれたのは、料理道具への想いでした。
収録前、鈴木さん愛用の料理道具を見せてもらいました。包丁も金杓子も、京都の伝統あるお店の逸品。どれも手入れが行き届いています。「良い品は大切に使えば長持ちしますし、手になじみますね。」中でも鈴木さんのお気に入りは、京都で明和元年(1764年)以来続く箸専門店の竹箸。材料や色あい、太さや長さ等を吟味し、職人の手により一本一本つくられた箸は、軽く丈夫で使いやすいといいます。
箸には鈴木の“ス”と名前が書かれていました。薄くなったその文字からは、長年使い込んできた箸への愛着がうかがえます。
「ここの盛り付け箸は、美しく盛り付けるための心得があります。もう何十年も使い続けていますよ。」頼りないほどに細く削られた箸先が可能にする繊細な盛り付け。今回の収録でも、小さなとうがらしのあしらいや、しょうがの天盛りなど、細やかな盛り付けで、目に麗しい品々を作り上げていました。「盛り付けるときは手づかみでは駄目よ。きちんとお箸を使ってくださいね。お箸を使う文化は大切。日本人なんですから、みなさんにはお箸を上手に使えるようになってほしいわね。」
さて、今回鈴木さんに披露してもらった数々の秋なす料理。そのなかでも、なすを丸ごと煮る「なすのほたほた煮」は、秋なすの魅力をたっぷり楽しむことができます。縦に細かく入れた切込みが美しく、柔らかな身をかみ締めると、じゅわっとおいしいだし汁が口の中に広がります。「なすのほたほた煮」、やさしくホッとするその味わいは、心から気持ちが暖かくなる一皿でした。