6月下旬に放送した「地元の味をいただきます」は京都府舞鶴市を訪ねました。
テーマの食材は「とり貝」。京都府は全国で初めて大型とり貝の育成に成功しましたが、なかでも舞鶴市はその主産地として知られています。ゲストは、イタリアンレストラン・オーナーシェフの北見博幸さん。どんなところでとり貝が育てられているのか、小型漁船に乗せてもらい見に行きました。
リアス式の美しい海岸線。外洋から懐深く入り込む舞鶴湾は静かな印象を受けました。そのところどころにいかだが浮かんでいます。いかだの下、水深6メートルほどにつるされたコンテナの中でとり貝が育っています。
長さ1m、幅50cm、高さ30cmの大きさのコンテナには、砂ではなく無煙炭の粒が敷き詰めてあり、それがとり貝の寝床となっています。
2ヶ月ごとに引き上げてフジツボなどを取り除いたり、とり貝やコンテナをきれいに洗ったりします。そうして手をかけて1年間、小さな稚貝から手のひらほどの大きさに育ちます。いわゆる魚の養殖のようにエサをやるのではなく、とり貝は豊かな舞鶴湾のプランクトンで大きく育つのです。
舞鶴は日本海に面していますが湾のなかはとてもおだやかですから、とり貝たちはきっとストレスも少ないでしょうね。初夏の高級食材として京阪神はじめ東京の料亭からも引き合いがあるとのことです。漁師さんにとっては、愛情をかけた分おいしさを返してくれる「獲りがい」のあるとり貝といえそうです。
さっそく舞鶴の大きなとり貝をいただきました。
地元漁師さんたちは、生で食べるより軽く火であぶったりお湯にさっとくぐらせて食べるのがふつうなんですって。それは熱が少し入ることで貝の甘みが引き出されるからなんだそうです。
まずは炭火であぶって、なにもつけずにひとくち。プリップリの食感のすぐあとにやさしい甘みが口の中に広がっていきました。それは海の恵みが育んだ甘みです。
港には、そんな恵みを求めてか無数のかもめたちが飛んでいました。さすがとり貝の里、鳥がいっぱい。
後藤 繁榮
ごとうしげよし