4月からの新シリーズ「キッチンにおじゃまします」、一回目は料理研究家、野口日出子さんです。
まずは、野口さんがいつも食材を仕入れる東京・築地市場へごいっしょしました。新鮮で味のいいあじを手に入れるためです。朝8時過ぎでしたが、まだまだ活気にあふれていました。荷物を運ぶターレットと呼ばれるトラックが狭い通路を勢いよく走り回り、外国人の観光客は歓声をあげながら写真を撮っていました。
そのにぎやかな「場内」を出ると商店街や飲食店などがあります。野口さん行きつけのかつお節屋さんに寄りました。主に料理店がお得意さんの専門店です。店先には大きな木箱に、ひらひらと透けて見えるような美しい削り節がふんわり盛られています。朝の光があたって削り節がまブシしぃ。「つまんでいいよ」といわれて口に入れるとかつお節の淡い香りが。ふたくち、みくちとかんでいるとうまみが口中にぱーっとひろがっていきます。それだけでおかずにしてもいいくらいのおいしさ。削りたては香りも味もいいのですね。削り節を買ったら冷蔵庫か冷凍庫で保存するのがいいそうです。酸化させると味が落ちるからだとか。
ところで削り節とひとことで言ってもその種類はいろいろ。まずはおなじみのかつお節。これにも薩摩本節、本枯宗田節、かつお荒節などに血合い入りだの無しだのとバリエーション豊富。血合い入りだと深みのあるだしがとれる。他に、まぐろ節やさば節、うるめ節があります。それぞれに味の違いがありますから、料理店はそれを組み合わせてお店独特のだしをつくるんですね。だしは日本が世界に誇るスープストックですよね。
そして新鮮なあじも手に入れて野口さんのお宅へ。まずは築地で購入した削り節と昆布でだしをとりました。香り高く滋味あふれるだしです。しかし野口さん厳選のいい素材ですからね、その出し殻はおいしい佃煮に大変身しました。
あじも食べきります。三枚におろしたあと、頭はあぶって昆布といっしょにみそ汁のだしに。たたきをつくったあと残った骨は、なんと庭で風干しにします。物干しにあじの骨がいくつも風に揺れている光景、シュールです。
干した骨は低温の油でじっくり揚げて仕上げます。カリッとおいしくいただきました。鮮度のいい素材を手に入れたら最後まで食べきる。多少お高い食材でも楽しんだうえに元がとれますね。野口さんの知恵と素敵なキッチン、ぜひ番組でご覧ください。
放送は4月12日(月)の予定です。お見逃しなく。
後藤 繁榮
ごとうしげよし