高知県は柚子の一大産地です。全国の4割を生産しています。県内でもその多くを出荷しているのが北川村です。高知県東部に位置する山あいの村です。車窓には、左右あちらこちら無数の柚子の木が映りました。黄色の果実がまるでドット柄のように木々にぶら下がっています。役場の福島信彦さんが「ゆず王国なんですよ」と言うとおり、村中が柚子の香りで満ちていました。まるで柚子湯に入っている気分です。
毎月放送している「地元の味をいただきます」、今回のゲストはレストラン総料理長の熊谷喜八さん。熊谷さんは地元からの依頼で数年前から県内の食材を再発見してきました。先日は知事から県の物産スーパーバイザーに委嘱されたばかり。「柚子は海外のシェフからも注目されている。高知県の柚子を世界に発信していきたい」とのこと。
さて、柚子農家の浜渦さん宅へ行くと収穫の真っ最中。もぎ取られた実は果汁にされます。檜を削ってつくった柚子搾り器が大活躍していました。浜渦さんが考案したものです。皮ごとぎゅっとつぶすと香り高い果汁が滴り出てきました。120個ほどの柚子で一升が一杯になります。その果汁を地元では「柚の酢」とか「柚子酢」と呼んでいます。ほとんどの家庭では自家製の柚子酢をつくり、年間2~5升ほども使うのだそうです。一般の醸造酢は「ま酢」と言って柚子酢と区別しているそうです。
北川村の代表的な郷土料理は「田舎ずし」。すし飯に柚子酢を使うのですが、醸造酢のとがった酸味とは異なり、実におだやかでまろやかな味わいになります。地元農家のご婦人方「ゆずサンサングループ」につくっていただいた田舎ずしは絶品でした。山の村なので、すしのネタはみょうが、はちく、しいたけ、それにこんにゃくなど。地産地消のスローフードです。
そして熊谷さんはじめスタッフをうならせたのが「柚子ミルク」。2リットルのペットボトルに柚子果汁と牛乳を各カップ半分、砂糖200gを加えてあとは一杯になるまで水を足します。シェークして冷やしたら出来上り。即席の乳酸飲料のようなおいしさです。どうぞお試しあれ。どんな料理にも柚子は融通がききますよ。
放送は12月23、24日です。
後藤 繁榮
ごとうしげよし