私にとって、故郷の埼玉と同じくらい大切な場所があります。NHKに入って初めて勤務した場所、広島です。東京に転勤した後も毎年必ず広島を訪れ、お世話になった方に会いに行ったり、慰霊碑の前で手を合わせたりします。今年は、広島県呉市に住んでいる女性の家を訪ねました。梶山雅子さんです。梶山さんは、原爆で亡くなった同級生の遺志を受け継いで、語り部として広島市などで平和の大切さを子ども達に伝えています。丁寧な心づかいとやさしい語り口。赴任当時、広島に来たばかりの私を温かく迎えて下さり、取材に伺う度に様々なことを教えてくださいました。呉といえば坂が多い町。この夏も、坂道を一緒に上り、互いの近況などを話し合いました。実の娘のようにかわいがって下さる梶山さん。「お腹が空いたでしょう」と私の手をとり、食卓に案内して下さいました。
とその時、玄関のインターホンが鳴りました。「江崎さんが来てからお届けしようということだったのよ」と梶山さん。いらっしゃったのは地元の魚店の男性。「広島の新鮮な魚を食べてもらいたいけえ」と、私が来るのを見計らって届けに来て下さったのです。まずは「鯛のあらい」。瀬戸内の海でとれた天然の鯛、真鯛です。新鮮な真鯛は「洗い」で食べるのが一番。身が締まっていて、脂ののりも良かったです。蒸し暑さも吹き飛びました。
続いて出てきたお弁当。ふたを開けてみると、とても豪華!旬のメバルの煮付け、マツタケ・・広島の海の幸と山の幸が詰まっていました。このマツタケの名前は、ツユマツタケ。マツタケが採れるのはほとんど秋ですが、梅雨の時期に育つこともあるそうです。
メバルはなんとも滋味深い味わい。同じく夏の味覚、ハモ。こちらは梅肉ソースをかけて頂きました。ハモのうまみと梅の酸味があいまって、暑い夏にぴったりの味でした。
「きょうの料理」を担当するようになり、料理や食材への興味が増してきた私。気がつけば、魚店の男性や梶山さんに何度も質問をしていました。「昔は食べるのに夢中でおいしいって言ってくれるだけだったけど、料理に興味がわいてきたのね。成長したわね。」と梶山さん。嬉しいような恥ずかしいような・・・(笑)。今年も、広島の皆様から、温かい気持ちやエネルギーをたくさんもらいました。これからも、料理、がんばります♪
江崎史恵
えざきしえ