みそ汁に油揚げを浮かべるのがすきです。香ばしく焼いた油揚げにしょうゆをさっとかけるのもいいですね。総務省による都道府県庁所在地別の調査では、福井市の油揚げ購入代金は第一位だそうです。全国平均の2倍といいますから、福井市は油揚げ王国といってもいいでしょう。先月「地元の味をいただきます」の公開録画で福井市を訪ねました。ゲストの枝元なほみさんと市内の油揚げ工場を見学することに。衛生管理は大事です。コスプレな気分で白装束に変身!長靴もお借りしました。
大豆を煮る湯気と香りが満ちています。工場のなかは水の音が響いていました。地下からくみ上げられたおいしい水が大豆のうまみを引き出すのでしょうね。そして工場の半分には機械が並んでいます。厚揚げがつくられていました。ステンレスでできた幅1m長さ4mほどの揚げ機は油の浴槽のよう。四角い豆腐状のものが次々と投入されるとゆっくり泳ぐように流れていきます。ほどよく揚がるとゴールに滑り込むようにして着地!
冷ますためにかごに移されますが、油に入れたときの大きさの2~3倍の大きさになっていました。それにしても福井の厚揚げはでかい。ふつうのものの一回りは大きいのです。とにかく市内のスーパーをのぞいてみても、油揚げの売り場面積は東京と比べて3倍はある!しかも種類が豊富。薄揚げは一辺が15cmの正方形。これもでっかい。それに中揚げ(ちゅうあげ)と呼ばれる独特の油揚げがある。薄揚げと厚揚げの中間くらいの厚さです。福井は浄土真宗の王国ともいわれる土地柄。仏教行事の際にふるまわれる精進料理には、かならず油揚げが登場していたとのこと。あつい信仰心の風土が豊かな油揚げ文化を育んできたのでしょう。
ところで福井名物に「ソースカツ丼」があります。私は初めて食べましたが、豚のもも肉を薄くのばしてさっくり揚がった食感は洋食のカツレツそのもの。和風のウスターソースが絶妙にからんでいます。考案した人は大正時代に東京で洋食店を営んでいましたが、関東大震災で被災し郷里の福井に引き揚げたのだとか。ドイツでも修行したシェフです。福井のソースカツ丼は、卵でとじるカツ丼とは全く別の洋風なごちそうでした。これも揚物ですね。
後藤 繁榮
ごとうしげよし