「田村隆と後藤アナの面白クッキング」のイベントで久し振りに兵庫県を訪ねました。会場は芦屋市でしたが、夕食は神戸市のポートアイランドの和食レストランへ。田村さんの日本料理店でかつて修行された山崎英人さんが料理長を務めるお店です。
テーブルにつくと折敷には扇形をしたマットが。この絵と文字は田村さんの祖父、「きょうの料理」でも名講師だった田村平治さんによるものです。五味調和とは「甘味・酸味・塩味・苦味・辛味」の五つの味を調和させる料理の心得を説くことば。山崎料理長はその心を大切に神戸で20年間和食を提供してきました。
ご覧下さい、先付のお皿の豊かで楽しいこと。7つの料理が笑顔で食欲を誘います。
まず注目したのがおたふくの小さな器。いったい何が入っているんだろう。開けてみるとおくらをトッピングした明石のたこです。キュートですねえ。この地域の名産たこがかみ心地もやわらかくのどを下りてゆきました。
そしてカラスミには何と細工された鶴が飛んでいる。1月だからかなあ。めでたさを目でも楽しめます。
山崎料理長の料理は、田村平治さんから学んだ和食の真髄をしっかりと守りつつ、お造りはカルパッチョ風!オリーブオイルを薄く敷いたお皿に刺身、そこにポン酢のゼリーがちりばめられています。洋風のアレンジも。田村さんは思わず「いやらしいなあ~」とつぶやく。いやらしい、は悪い表現ではなく「色っぽい」料理というほめことばなんだそうです。見て楽しい、食べて楽しい。こうして神戸の夜が更けていきました。
阪神・淡路大震災から14年、神戸の夜景も戻りました。実は私、震災の傷跡が生々しいころに神戸や芦屋を訪ねた思い出があります。多くのボランティアが現地に入って活動するなか、居ても立っても居られず自分に何ができるのか必死で考えました。すでに物資は届いている。では心が癒されるものを届けよう。付き合いのあったNHK交響楽団のメンバーに声をかけ、四重奏の出前コンサートを企画しました。避難所になっていた学校を歩きながら訪ねて教室や校庭などで演奏をきいてもらったのです。あのとき涙を浮かべて喜んでくださったみなさんの顔がありありと思い出されます。でも被災された方々の深い心の傷は癒しきれなかったという思いもあります。復興した街の無数の灯りに黙祷を捧げました。
後藤 繁榮
ごとうしげよし