「地元の味をいただきます」7月は千葉県銚子市へおじゃましました。銚子といえば全国でも有数の漁港の町。沖合いは北上する親潮と南下する黒潮が交差するため、水揚げされる魚種は実に豊かです。さんま、さば、かつお、まぐろ、たい、ひらめなど全国各地に送られています。なかでもいわしは古くから漁獲高でも味でも銚子を代表する魚といわれてきました。そこで今回はいまが旬のいわしがテーマです。
さっそく銚子漁港へいわしを求めて訪ねました。残念なことに今シーズンは不漁ということで、次々と岸壁につけられるのはさばを満載した船ばかり。待つこと数時間、いわしを積んだ船が入港してきました。さばの漁船に比べると大きさはこじんまりとした船でしたが、私たちにはまるで大型貨物船のような勇姿。思わず拍手を送りました。
今回のゲストはイタリアン・レストラン総料理長の日高良実さん。身長180cm。銚子だけに長身です。日高さんのお店の名前はイタリア語で魚料理を意味します。漁港で待っているときも潮風のなかで海や漁船、水揚げされる魚を愛おしそうに眺めていらっしゃいました。この日漁師さんから手に入れたいわしはせぐろいわし。かたくちいわしとも言います。イタリアンに欠かせない食材のアンチョビなのです。日高シェフの目がいっそう輝いたことは言うまでもありません。獲れたてのいわしはキラキラと美しい輝きを放っていました。
漁船が接岸するとすぐに港の市場から小型トラックがやってきます。競りで買い付け人に見せるためです。買主が決まってから大型トラックが引き取りに来るのです。その間いわしは氷で冷やされています。足がはやい魚だからでしょうね。
ところで銚子はしょうゆの産地でもあります。しょうゆ醸造業は400年近い歴史と伝統を誇っています。利根川の河口に位置する銚子は原料の大豆などを船で運び込んだり、出来上がったしょうゆを江戸に船で運ぶのに便利な立地だったのでしょうね。そりゃあリッチだね。うまい魚にうまいしょうゆがあればそれだけで料理もリッチになることでしょう。
後藤 繁榮
ごとうしげよし