今年度もこの「きょうの料理のかくし味」と番組「きょうの料理」をどうぞよろしくお願いいたします。
桜の季節。先日、都内の桜の名所へ友人と出かけました。駅前からの通りの両側に200本の桜が見事な花を咲かせていました。文教地区ゆえゴザを敷いての宴会風景はありません。静かに桜を楽しむのもまたいいものです。
その日の目的は気軽にフレンチを楽しもうという“花より団子”。一度行ってみようと思っていたビストロへ。駅から少し歩くだけですが住宅街の隠れ家レストランのようです。でも、平日なのに店内は予約客でいっぱい。期待感が盛り上がります。
メニューから「地豚バラ肉のロースト・レンズ豆添え」を選びました。バラ肉というとなんだか脂の層が相当くどいのでは?と思ったのですが、意外にすっとのどを通っていきます。脂っこさよりも甘みの印象が残ります。かために煮上がったレンズ豆との相性もバツグン。しかも豚肉からは花のような良いかおりがほのかにするのです。
地豚。いったいどこの地方かと思ったらなんと東京の地豚だというではありませんか。えっ東京の豚だってえ!?なんでも東京都畜産試験場(現:東京都農林総合研究センター)で開発された豚なんだそうで。その名も「トウキョウX」。秘密諜報員のコードネームみたいでかっこいいなあ。北京黒豚とイギリスのバークシャー、そして北アメリカのデュロック種を駆け合わせたもの。東京には全国各地から食材がいっぱい集まってきますが、実は農産物の研究も地道に行われていることを改めて知りました。東京の地豚は供給に追いつかない現状だそうでなかなかの人気者です。
さてその翌日は、名古屋への日帰り出張。私は岐阜出身で高校は名古屋でしたから「赤味噌文化圏」で育ちました。ですから名古屋駅に着くと誘われるようにして味噌煮込みうどんのお店へ。ほろにがな赤味噌スープに腰があるという以上にカタメの麺。土鍋は熱々ですから、蓋をとり皿代わりにしてスープと麺をいただきます。楽しみなのは一切れの小さな鶏肉を見つけること。名古屋コーチンでダシをとっているからでしょうが、まるでオマケのような鶏肉が潜んでいるのです。ほんの一切れですが滋味が口中にひろがります。
明治時代に生まれた名古屋コーチンはいまや地鶏の代表選手。東京の地豚もいつかそんな存在になるのかもしれませんね。
後藤 繁榮
ごとうしげよし