2月は石川県金沢市へ行った翌々週に再び北陸を訪ねました。「きょうの料理」でもおなじみの田村隆さんといっしょに小松市での料理イベントに出かけたのです。かつて富山放送局で勤務していたこともあり、北陸はなじみの深い土地です。
会場の下見をしたあと、市内のお鮨屋さんで打合せをかねた夕食会。新鮮な魚介の料理を堪能しました。なかでも、走りのほたるいかは懐かしい味。富山時代、春の味として親しんでいたからです。ふつうは水深200~600メートルの海底近くに生息しているのですが、3月から6月にかけて産卵のため群れをなして波打ち際へ押し寄せます。それを富山では「ほたるいかの身投げ」といわれていました。身投げは、人間なら水の中へということでしょうが、海の生き物であるほたるいかにとっての身投げは陸へということなのでしょう。北陸はまだ雪の降る季節ですが、お店でいただいたほたるいかに春の訪れも遠くないように感じました。
お鮨はのどぐろや甘えび、かになど北陸の海の幸を楽しみました。特に石川県にいるのだなあと実感したのは、器の楽しさです。それぞれ表情の違う九谷焼が登場しました。土地の味は、風土が育てた器に盛られてさらにおいしさを増すように思いました。
ところで、宿にチェックインするとき、フロント前を通りかかった熟年女性から「あら!後藤さんじゃない。いつもテレビで見てるわよ」と声をかけられました。「きょうの料理」の視聴者に出会うことはうれしいことです。
そして夕食会のあとのことです。金沢放送局から後輩が訪ねてきたのでホテル内の店へ。扉を開けるとびっくり。フロント前で立ち話をした女性がカウンターの中にいるではありませんか。「あら!またまた後藤さん。後藤さんに会ってあんまりうれしかったからお客さんたちに自慢したんだけど、みんな後藤さんのこと知らないって。悲しかったわ」。そうですか・・・。私もなんだか申し訳ない気分に。でも、知ってる知っていないで会話が盛り上がったのならうれしいじゃありませんか。それを機会に「きょうの料理」を見て下さる方が増えればうれしい限りです。
後藤 繁榮
ごとうしげよし