「九絵(クエ)」という魚、ご存知でしょうか?私はついこの間まで、「聞いたことあるような無いような…」という感じでした。ある国語辞書によると、「ハタ科の海水魚。全長1メートルに達する。体色は茶褐色に白斑が雲上に流れる。本州中部以南の磯にすむ」とあります。しかもなかなか釣れない貴重な魚で、釣り人の憧れの的になっているのだとか。そんなクエに先日、生まれて初めて対面しました。
食物を知るためならとてつもない行動力を発揮する私。先月、和歌山県の知人から「クエ」が美味しい季節だと言われ、和歌山県白浜町に飛んでいきました。
「幻の魚」と言われるクエですから、胸がおどる気持ちで市場の水槽をのぞきました。ところが!なんと目の前に現れたのは、お世辞にも男前とは言えない魚。大きなタラコ唇がへの字形の仏頂面で、とても美味しそうには見えない形相です。あなたが世の憧れのクエ殿ですかあ!じっと見つめていると、やはり機嫌悪そうです。一度でいいから笑ってくれませんか?!無理かあ…(驚いていて、写真をとるのを忘れました。ごめんなさい)
夜は、クエ料理を食べさせてくれる旅館に泊まりました。出てきたのは、クエの刺身、寿司、酢の物、鍋、てんぷらなど…まさにクエ三昧です。あの姿ですから、一体どんなお味なのかしらと、またもやドキドキ…。
ところがお刺身を口に入れたとたん、イメージはくつがえされました。優しい甘みとコクが口の中にジュワーと広がって…見た目からは想像できない上品な味わいと、程よい身のしまりなのです。
そしてクエ鍋。熱を通すと、きれいな白色に変わりました。淡白な中にも、しっかり脂がのっているので、皮と身の間などはゼラチン質がトロトロ。コラーゲンたっぷりです。翌朝はお肌もプルルンかしら?と期待してしまう程でした。
料理を食べ終わる頃には、すっかりクエの虜になっていた私。見かけは決してよくありませんが、中味は優しくて上品で、確実に心を掴む「イケてるヤツ」なのでした。やはり、人間も魚も外見ではありませんね(笑)!!どうぞお元気で。
山本美希
やまもとみき