今月の「地元の味をいただきます」は和歌山県那智勝浦町。「まぐろ」の日本有数の漁獲地です。シーズンは大体12月から5月ごろまで。まさに旬の食材です。収録会場は勝浦漁港の競りが行われる場所の片隅。前日に機材を運び込み公開収録ができるようにセッティングします。ところが港に来てビックリ。その日まぐろが大漁で足の踏み場がないほどだったのです。ふだんは午前中に終わる競りがその日は夕方近くまで行われていました。
何台ものフォークリフトがまぐろを積んで忙しく動き周り、消費地へ向かう保冷車に積み込んだり冷凍倉庫に運んだり。町中がまぐろで沸き立っているようでした。会場のスペースが空いたのは日が暮れたあと。まぐろだけにまっぐろな夜になっておりました。
翌日はゲストの熊谷喜八シェフとまぐろの水揚げ風景を取材するため早起きして漁港へ。漁船が港に横付けし船倉からクレーンでまぐろを次々吊り上げます。その上空にはカモメたちが旋回しています。競りの声があちこちから聞こえてきます。まぐろには種類があって、勝浦漁港にあがるのはクロ、メバチ、ビンナガ(ビンチョウ)、そしてキハダ。「こちらキハダ、こちらはキハチ」とダジャレをいうと喜八シェフは苦笑い。でも、まぐろがいっぱい並ぶ壮観な景色の中でシェフはニコニコ。「頭の中に次から次にまぐろ料理のレシピが浮かんできますよ」とご機嫌でした。
会場セットの背景は港そのもの。本番が始まるまでテレビカメラには漁船が出たり入ったり。漁場である近海へ出発する船には何日分かの食料が積み込まれます。吹きさらしの港で公開収録ですから当日の天気が心配でしたが、おだやかな日差しのなかで和やかな雰囲気で番組がすすみました。
地元のみなさんにまぐろの食べ方をうかがうと、ほとんどしょう油で刺身が多いとか。獲れたての新鮮な食材が手に入る産地では手の込んだ料理は必要ないのかもしれません。
しかし子どもたちの中には魚が苦手という子もいるとか。地元のお母さんにも悩みがあります。
喜八シェフのまぐろ料理の提案は、お得意の和洋中が融合した鉄壁レシピ。しょう油で刺身ではなくオリーブ油と柚子こしょうでカルパッチョ。まぐろを芯にエビやイカと合わせた春巻きなど思わず「うまい!」とうなる品々。会場のみなさんも「さっそく今夜つくってみたい」と大感動。まぐろは英語でツナ、産地の「通な」人たちに喜んでもらった収録でした。放送は12月24、25日です。
後藤 繁榮
ごとうしげよし